アウトプットを意識しながら読むという読書術

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本の読み方がわからない。読んだつもりになっても意外と理解できていなかったりすることがよくある。友人が書いた本についてFacebookで感想を書いたら、著者本人から、もしかして誤読してない?と言われたことがあって、確かに誤読していたので、それ以来、本を読むことにめっきり自信がない。

でも、まだまだ知識が足りないと痛感するこの頃。高等教育はもとより、広く教育学のことや、教育史・教育社会学について体系的におさえておくべきだし、教育政策・教育行政のことも知っておかなくちゃいけない。 IR活動を効果的に進めるためには経営戦略のことも理解しておきたいし、もちろん、データハンドリング・統計学データマイニングに関する知識もアップデートしていく必要がある。本を読んで、いっぱい勉強しなくちゃいけないと思っている。

本の読み方についてインターネットでちょこっと情報収集したことをここにまとめます。

 

まずは流し読み

www.maekawa-koichiro.com

いきなり目的を持って読み始めるのはなかなか難しい。目的を探すために、まずは全体を流し読みすることが大事らしい。目次を見てから、とか、目次は見ないで、とか、いろんな意見が散見されたけど、おれは目次を見て全体を把握してから本文を読み進めていこうと思っています。この時に重要なことは、あまり細かいところに気をとらわれずにとにかく先にページを進める、ということ。

 

全体を俯瞰した後に精読

精読するとき、マーカーや3色ボールペンを使ったりしながら読むのが良い、と、いろんなところに書いてあったけど、それはおれの流儀じゃない。付箋を使うのもめんどくさい。 iPhoneのデフォルトのメモ機能も他の端末との同期に難があるし、Evernoteも考えたけど、動作が重かったり、同期できる端末に制限があるので… 、などと考えて探していて見つけたのが、Google Keepというアプリ。ダウンロードしてちょっと触ってみたけど、動作はサクサクだし、Googleのアプリなので端末間での連携にも優れている。本を読みながら、気になったところをGoogle Keepにメモをしていく、というスタイルをしばらく試してみようと思います。

Google Keep - メモとリスト

Google Keep - メモとリスト

  • Google, Inc.
  • 仕事効率化
  • 無料

 

記憶を定着させるためにアウトプットする

bijodoku.com

エビングハウス忘却曲線アトキンソン&シフリンの記憶の二重貯蔵庫モデルの例を出すまでもなく、記憶を定着させるためには、 Short-termメモリーにある記憶をリハーサルすることが大切。そのためにも、読んだ情報をアウトプットすることが効果的。アウトプットの例として、メモする、人に話す、SNSで共有する、書評を書く、などの方法が紹介されていました。先に紹介したGoogle Keepでメモする、メモをまとめてツイートする、のほかに、このブログで書評記事を投稿したいと考えています。書評記事を書くにしても、テンプレートがあったほうが書きやすいし、あらかじめどういう内容のことを記事にするか心に留めておいた方が、視点が定まっていて読みやすいと思う。
参考にしたのは以下の記事。

areya-koreya.com

これを参考に、自分なりにテンプレートをまとめてみました。

 

書評記事用テンプレート

  1. その本を選んだ理由
  2. 著者のプロフィール
  3. 本の要旨まとめ
  4. 印象に残ったフレーズ
  5. どうして印象に残ったのか
  6. その本を通して何を学んだか
  7. 学んだことをどう活かすか
  8. 全体的な感想

 

というわけで。読書の秋。秋の夜長に、積読されている本を片っ端からやってつけていきたいと思います。

なおこの記事は、 iPhone の音声入力機能で書いてみました。なかなか使える。

 

1冊20分、読まずに「わかる! 」すごい読書術

1冊20分、読まずに「わかる! 」すごい読書術

 
読んだら忘れない読書術

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BlogArts: 書評記事の書き方

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趣味のウェブサイトを3日で作る方法;WordPressによるサイト制作メモ

いまの勤務先に転職する前、ウェブ関連の会社で、立ち上げから1年間だけ働いていた経験があります。 まったくの無知の状態からはじめて、専用サーバーを契約してSSHと悪戦苦闘したり、Photoshopでフリー素材を加工したり、Illustratorでバナーをつくったり、WordPressを管理画面まで含めてフルカスタマイズしたり。社長の無茶ぶりに応え続けていたら、一年で結構スキルアップできました。

3年前に転職したのですが、時間もあるし、そろそろウェブサイトでも趣味的につくりたいなあと思ってたので、この3連休を利用して突貫で制作しようと思った次第です。

 

サイト制作にあたり、全て無料で3日でつくる、という目標を設定しました。続くかどうかわからないし、よしんば続いたとしてもアフィリエイトで収益化できるとは思えないので予算をかけるほどでもないし、本来の目的である読書に時間をかけたいのでサイト制作に使う時間は3日間に限定しました。

 

CMSの選択

まず最初に悩んだのが、CMSの選択です。XOOPSとかMODXとかtumblrとかbloggerとかもちょっと考えたのですが、最終的には、はてなにするかWordPressにするかでの二択で悩むことになりました。カスタマイズ性はWPのほうが高いな、でもWPは挙動が不安定だし、記事を書くだけのはてなのほうがいいかな、なんて。

結論としては、今後の発展性に夢を馳せて、何でもできるWordPressを選択。

 

基本からしっかりわかる WordPress 3カスタマイズブック (Web Designing Books)

基本からしっかりわかる WordPress 3カスタマイズブック (Web Designing Books)

 

前職で大変お世話になった一冊。ボロボロになるまで使い倒しました。 

 

サーバの選択

商用可能な無料のサーバで、アカウントが「http://www.example.com/hoge」みたいにディレクトリ構造になっているのはあんまり好きじゃないので、「http://hoge.example.com/」みたいにサブドメインが使えて、広告なし、という条件でサーバ探し。

 

まずはhostingerでアカウントを取得してWordPressを設置。サブドメインがいくつか選べるけど、ドメインがどれも微妙。課金するとサーバのスペックあがるみたいです。試しにWordPressをインストールしてみたんだけど、非常にレスポンスが悪い。レスポンスが悪いのはユーザビリティ的にもSEO的にもよろしくないので、さっさと見切りをつけて他を探す。

 

それで、広告入りだけどわりと評判の良さそうなwpblogを試してみる。

レスポンスは許容範囲。 広告が上部に少し入るのと、ドメインが選べないのがマイナス。 ftpでの接続が「/wp-contents」以下のディレクトリに限定されるので、WordPressに慣れている人には痒いところに手が届かない思いをするでしょう。その一方で、WPのインストールはスムーズで、コントロールパネルからボタンひとつでインストール完了です。

 

これ以上探すのも時間がないなので、レスポンスを重視してwpblogに決定しました。

 

テーマの設定

WordPressデフォルトのテーマだといかにもなので、カスタマイズをしないでそれっぽく表示されるシンプルな無料のもの、という条件で小一時間探して、Iconic Oneというテーマを選択(デモサイト)。ヘッダー部分のタイトル画像とSNS連携は管理画面から簡単に設定できます。ほかのカスタマイズは最小限。content-page.phpを修正してトップページにアイキャッチ画像を挿入して、CSSを少しいじって色を修正したくらい。

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プラグインのインストール

プラグインは「絶対に導入しておきたいWordPressプラグイン9選 」を参考にしました。


絶対に導入しておきたいWordPressプラグイン9選

 

導入したプラグイン

  • All in One SEO Pack:SEO対策の定番。
  • WP Social Bookmarking Light:twitterFacebookはてななどのソーシャルボタンが簡単に設置できます。
  • Head Cleaner:WordPressは<head>要素とフッター部分に、そのページには不要な出力をたくさんするのですが、それを整形してくれる。っぽい。

 導入を見送ったプラグイン

  • W3 Total Cache W3 Total Cache:インストールすると505エラーが帰されてしまいます。原因をネットで調べたところ、どうやら .htaccess が壊れてしまうのでファイルの書き換えが必要なのですが、wpblogでは .htaccess が更新できないので使えません。
  • Lazy Load:画像はAmazonから引っ張ってくるので使わないかなと。
  • EWWW Image Optimizer:同上。
  • TinyMCE Advanced:管理画面のビジュアルエディタを強化してくれるプラグインのようですが、不要。
  • Akismet:コメントスパム対策。コメント欄は全部閉じる予定です。
  • Contact Form 7:コンタクト欄もいらない。

 

その他に導入したプラグイン

  • Google Analytics Dashboard for WordPress:言わずと知れたGoogle Analyticsを簡単に導入してくれる上、ダッシュボードにAnalyticsの結果を表示してくれるプラグイン。2週間前くらいにメジャーバージョンアップしたみたいで、日本語の紹介サイトがみつからなかったので設定がんばった。
  • Favicon Rotator:ファビコンを簡単に設置できるプラグイン。なんの説明も読まずにそれっぽく操作したらすぐに設定できました。 icoファイルはスムーズだったんだけど、なぜかicnsファイルがアップロードできなくて困っています。そのうち気が向いたら原因を調査します。思い当たる方がいたらブコメください。アイコンは、フリー素材かつ加工なしでそのまま使えそうなやつを探して、Icons DBというサイトで見つけました。本当はベクターデータの素材が良かったんだけど、ウェブ上でサイズ指定してDLできるのでオッケーということにしました。サーバが不安定で、たまに落ちているときがあります。

    Icons DB - free custom icons

 

この他、「Wordpressでアフィリエイトするなら絶対に知っておきたいプラグイン6選 | Wordpress奮闘記」の記事にあるプラグインもひととおり見たんだけど、目的に合うものがないので、見送り。21世紀になって久しい現在、HTMLのタグ打ち作業をひたすらこなしました。 コピペに次ぐコピペ。カスタムフィールドを使ってcontents.phpをごにょごにょして、みたいなことも脳裏をよぎったのですが、今回はアイテム数が限定されているため努力と根性でアイテムの流し込みを行いました。このコピペ作業にほとんどの時間を費やしてしまいました。とほほ。アイテム数が未定のアフィリエイトサイトなどの場合には、何らかの手段を講じた方がいいと思います。

 

まとめ

構築は集中すればなんとなくできるんだけど、デザインがイマイチ。あとはコンテンツ。

 

 

自ら判断できる精神的機軸を作り、思索力や論理的思考力を涵養するために。

子どものころから本が好きで、図書館とか書店とかに行くとドキドキします。ワクワクします。読みたいと思った本や話題になっている本はとりあえずなんでも買っていたのですが、適切な読書計画も読書基準もないので、当たり外れも大きいです。

それで掲題の件。人事院公務員研修所がホームページで公開している「若手行政員への推薦図書」が、少し前にはてな界隈で話題になっていましたね。

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人事院は、新規採用者から課長補佐級までの若手職員を対象とし、これらの職員が、自ら判断できる精神的機軸を作り、思索力や論理的思考力を涵養するなど、行政官としての素養を高めるための一助となるよう、学識経験者及び幹部行政官経験者の方々に読むことを推奨する図書の御推薦を依頼し、「若手行政官への推薦図書」のリストを作成いたしました。

 

ほとんど読んだことがない本ばかりだったのですが、個人的な「いつか読むべきリスト」に入ってたのにこれまで未読のままだったタイトルが3冊含まれていました。それは、『青春とは、心の若さである。(サムエル・ウルマン)』『国家プラトン)』『唯脳論養老孟司)』の3冊です。

青春とは、心の若さである。 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

青春とは、心の若さである。 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

 

 

国家〈上〉 (岩波文庫)

国家〈上〉 (岩波文庫)

 

 

唯脳論

唯脳論

 

 

全タイトル聞いたことある&読みたそうな書名が並んでるし、人事院公務員研修所の「若手行政員への推薦図書」を、一冊ずつ丁寧に読んでいきたいと思ってます。

 

id:fujipon さんの2014/10/24付エントリーからの孫引きになってしまいますが、『本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法』の著者である出口治明さん(ライフネット生命代表取締役会長兼CEO)は、教養を得るための手段には「人に会う」「本を読む」「旅をする」の3つしかない、と断じた上で、読書の効用について下記のように述べているそうです。

人、本、旅の3つの中で、もっとも効率的に教養を得られるツールが、本です。 旅や人と比較しながら、本の優位性について考えてみましょう。私が考える本のメリットを順不同にあげると、次の5つです。
  1. 何百年も読み継がれたもの(古典)は当たりはずれが少ない
  2. コストと時間がかからない
  3. 場所を選ばず、どこでも情報が手に入る
  4. 時間軸と空間軸が圧倒的に広くて深い
  5. 実体験にも勝るイメージが得られる。

確かに言われてみれば、読書はコストパフォーマンスが最高で、趣味としてまさに適切だなと。

 

本棚の整理とは知識を整理することである。

発端はこちらのエントリー。
唐突な本棚晒し祭り - Danas je lep dan.

(追記:現在、こちらのブログは非公開になっているようです) 

 

祭りの様子がこちらに丁寧にまとめられています。


本棚を見るとやる気が出る―本棚晒し祭りレポ - あたまのなか

 

 

というわけで、おれの本棚の話。

 

去年の今ごろまで本は床に直積みしてました。

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それで、どうしょうもなくなって、友だちにIKEAに連れていってもらってシェルフユニットを購入。

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その後も本は増え続けて本が本棚から溢れちゃってたので、整理したらすっきり。小説やコラムのような資料性の低い類の本を断腸の思いでBOOKOFFに持って行ったら、70冊1790円にたった。やっほい。さらに、最近になって楽天がフリマサイト「ラクマ」を立ち上げるにあたって、11/23までに30冊以上出品すると1,000ポイントもらえるというので、さらに30冊を処分。

 

そしてこちらが、その整理された本棚。

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横置きにして、テレビを乗せました。テレビの隣は、新書・文庫本のコーナー。昔から新書は好きで、買っては売り、買っては売り、を繰り返してます。BOOKOFFヘビーユーザー。

そして本題の棚の内部ですが、上段左から、

  1. シリーズ物の棚
  2. ビジネス関連の棚
  3. 高等教育関連の棚
  4. 統計学関連の棚

さらに下段左から、

  1. 音楽関連の棚
  2. 心理学・神経科学関連の棚
  3. 神経科学認知神経科学に関する洋書(1)
  4. 神経科学認知神経科学に関する洋書(2)

のように構成されています。

 

上段(1)シリーズ物の棚

東大の教養課程で使われている(使われていた?)「知」の三部作(「知の技法」「知の論理」「知のモラル」)と、「有斐閣アルマ」シリーズ、「図解雑学」シリーズが置いてあります。『知の技法』と『知の論理』は学生時代に読んで、高校時代までのお勉強と、大学での勉強は、こんなにも違うんだ、と感銘を受けた記憶があります。「有斐閣アルマ」シリーズは、かなり分かりやすく基礎から専門まで網羅できるので、新しい学問分野に興味が出たときに目を通すと、わりと全体像が把握しやすいかな、と。とくに南風原先生の「心理統計学の基礎―統合的理解のために 」は本当にオススメ。図解雑学シリーズは、以前某大学で非常勤講師として教えてたときに、講義用のスライドを作るネタ帳として利用。もう新しいのは買わないかな。

心理統計学の基礎―統合的理解のために (有斐閣アルマ)

心理統計学の基礎―統合的理解のために (有斐閣アルマ)

 

 

上段(2)ビジネス関連の棚

マーケティングとか、ブランディングとかの本が並んでます。「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」とか、昨年少し話題になった「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件」とか。マーケティングなら博報堂の「「自分ごと」だと人は動く」がオススメ。あと、凄くいいのがプレジデント社のムックの「図解」シリーズ。「考え方の基本」「書き方の基本」「図解 資料の作り方」の三冊が手元にあるんだけど、どれも分かりやすい。とくに考え方の基本」は、情報の分析方法とか、数字の読み方とか、フレームワーク思考とか、必要なことが簡潔に網羅されていて、あれ?って思ったときにすぐ開けるようにしておくとすごく便利。

 

上段(3)教育学関連の棚 

3年くらい前からこの業界で働きはじめたので、必死に業界研究しています。まだまだ質量ともに本を紹介できるレベルではないです。。。

 

上段(4)統計学関連の棚

統計学が好きなんです。統計学全般は、先の南風原先生の本がぶっちぎりでオススメ。あとは、もともとSPSSユーザだったので、「SPSSによる統計処理の手順」はじめ、石村先生の本にはかなりお世話になりました。最近はフリーウェアのRを使ってます。「データサイエンティスト養成読本」というムック本を読んで導入を決意。いろいろ調べて、「Rによるデータサイエンス - データ解析の基礎から最新手法まで」の一冊で足りそうだったので購入。リファレンスとして使えるので便利です。Rに関する話はまた別のエントリーで。「統計学が最強の学問である」は、まぁ読み物としては面白かったかな。

想い入れがあるのが、Kirkの「Experimental Design: Procedures for the Behavioral Sciences(実験計画:行動科学のための手続き)」。いま4th editionが出てるのね。おれが院生のとき3rd editionで、3万円くらいするのを清水の舞台から飛び降りるつもりで購入。買っただけだと絶対に読まないから、先輩を誘って週に一度の読書会をやって、1年がかりでこの944ページの大作を読み終えました。このおかげで、「統計学が得意です」って自信を持って言えるようになったなぁ。

Experimental Design: Procedures for the Behavioral Sciences

Experimental Design: Procedures for the Behavioral Sciences

 

 

下段(1)音楽関連の棚

譜面とか、教則本とか。ギターの教則本は、買っても練習しないくせに、すぐ欲しくなっちゃう。ボイトレ本は付属CDにあわせて発声したりたまにしてます。あとは著作権絡みの本。昔やってたバンドでCDをリリースしたことがあって、全国流通させるにあたって猛勉強しました。最近の、ファンキー末吉の騒動(くわしくはこちら)も、わりとずっと興味をもってウォッチしてます。

音楽ビジネス 仕組みのすべて―Music Business Bible

音楽ビジネス 仕組みのすべて―Music Business Bible

 

 

下段(2)心理学・神経科学関連の棚 

学生時代の教科書がメイン。大学1年のときの必修の基礎科目をはじめ、◯◯心理学入門みたいな講義の教科書ばかり。想い入れがあって処分できないけど、今後は読み返さないだろうなぁっていう本ばかり。某大学病院で神経心理検査の仕事をしていた時期があったから、それ関係の教科書は何度も読んだなあ。心理学ってどんな分野なの?って聞かれたときにオススメしたいのは、道又先生の「心理学入門一歩手前」。"一歩手前"の名のとおり、ブントから始まらない心理学の本です。ブントがわからない人はぜひ読んでください。

心理学入門一歩手前―「心の科学」のパラドックス

心理学入門一歩手前―「心の科学」のパラドックス

 

 

下段(3)(4)神経科学認知神経科学に関する洋書

大学院のときの教科書と、独自に院生同士でやってた勉強会の課題図書と、自分の研究テーマに関する専門書の群れ。しばらく段ボールに突っ込んでロフトに放り込んでたんだけど、久しぶりに出したらカビが生えてて古文書みたいになってた。たぶん二度と開かないんだけど、相当投資したので処分できないし、洋書がならんでるとカッコいい、という理由で並べてます。一番分厚いのが「Principles of Neural Science」。他大学の院生との勉強会の課題図書で、当時は4th editionだったんだけど、なんと1414ページ。これを持って、某大学まで毎週通ってたなぁ。あのときおれは若かった。しかもいま調べてみたら、邦訳が出てるのね(1696ページ!)。この本にはなんでも載ってるので、本気で勉強したい人か、すんげーヒマでやることない人はぜひ。

 

カンデル神経科学

カンデル神経科学

  • 作者: 金澤一郎,宮下保司,Eric R. Kandel,James H. Schwartz,Steven A. Siegelbaum,Thomas M.Jessell,A. J. Hudspeth
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2014/04/25
  • メディア: 大型本
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

 

まとめ

本棚って、自分の志向とか思考が反映されてておろしろい。

本棚を整理するっていう作業は、知識と感情の棚卸しになるんだな。


そうか。断捨離ってこういうことをいうのか。

 

「公認心理師」ってナニソレ食えんの?

おとといの夕方、「衆院解散を受けて公認心理師法案の廃案濃厚」とのニュースが入ってきた。2008年くらいまで心理学業界の片隅でひっそりと生活していたんだけど、恥ずかしながら「公認心理師」というワードは寡聞にして知らなかったので、あわてていろいろ調べてみたので、そこで得た知識をまとめてみた。

どうも、もとからある認定資格である臨床心理士に対して、医療心理師という国家資格を臨床心理士とは別に作ろうという流れがあったみたい。ちなみに、医療心理師という資格は現在のところは存在していない。

全国保健・医療・福祉心理職能協会(以下、全心協)が母体である医療心理師国家資格制度推進協議会(以下、医療心理師側)が臨床心理職国家資格推進連絡協議会(以下、臨床心理士側)にお伺いを立てずに、医療心理師の国家資格化に向けて動き出したのがそもそもの発端のようで。そこで医療心理師側と臨床心理士側の間に入ってきたのが、日本心理学諸学会連合(以下、日心連)。医療心理師側、臨床心理士側、日心連の三団体での協議の上で国会に提出したのが、今回の公認心理師法案とのこと。

現行の臨床心理制度と、国家資格化される公認心理師の違いの詳細についてはWikipediaに詳しいのでそちらを参照してほしいんだけど(公認心理師 - Wikipedia)、個人的に気になるのが、以下の2点。

  1. 資格取得のための学歴制限が、臨床心理士修士の学位が必須なのに対して、公認心理師は学部レベルの教育(+実務経験)でオッケーになる、ということ。
  2. 臨床心理士は医師と連携や協力を受けながら心理士の独立性が担保されていたのに対して、公認心理師はすべての分野についても医師の指示を受けるようになること。

これらの問題についてはロテ職人さん(@rotemeister)がこちらで詳しく説明してくださっていますので、興味のある方はそちらを読んでみてください。


公認心理師の受験資格が学部卒者にも与えられることに対して自分なりに批判してみる | ロテ職人の臨床心理学的Blog


「医師の指示」と「医師の指導」 | ロテ職人の臨床心理学的Blog

 

それで、何が生じるかというと、いまよりもすこしスキルの低い心理師が大量生産される時代になると思うんです。これは良し悪しの問題ではなく、そういうことが生じうる、ということです。これまでは「指定された大学院への進学」というハードルがあって、それがなくなる、ということです。そして、先日話題になったG型大学 / L型大学の話(実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第1回) 配付資料:文部科学省 配布資料4 冨山和彦委員提出資料)のL型大学と非常に親和性が高いんじゃないかなぁと考えています。

これらを踏まえると、高校生のうちにどのような問題意識・目的意識をもたせるのか、大学はどのような学生を受け入れるのか、そして公認心理師としてどのような学生を輩出していくのか、少なくとも心理学という学問分野においては、学部カリキュラムも含めて、大きな変革が求められています。

小沢牧子さん(オザケンの御母堂様)は著書『「心の専門家」はいらない』の中で、心理学の資格化についての警鐘を鳴らしています。12年前も前の本ですが、これを読めば、資格問題、ひいては心理実践のどこに問題があるのか俯瞰できると思います。そして、それらの課題を自覚的にとらえた上での心理実践や教育活動が必要だと感じています。

「心の専門家」はいらない (新書y)

「心の専門家」はいらない (新書y)

 

 

それで掲題の件。「公認心理師 」ってナニソレ食えんの?への回答ですが、いまの臨床心理士の制度より食えるようになるんじゃないのかなぁ、と考えています。

 

ご意見をお待ちしています。